起業に対する私の考え方

起業をお考えの方は、一番起業に必要な事は何だと思いますか?

資本?人脈?事業計画?もちろんそれも大切であるとは思います。しかし、私が最も重要と考えるのは「志」です。

「成功したい」「一旗あげたい」「将来IPO」も結構でしょう。しか学問として身に付けた成功するためのイロハを実践しても上手く行かないことの方が多いように感じられます。私は、困難にぶつかったときに最後の胆力を発揮できるのは「志あってこそ」だからだと思えてならないのです。

基本、「大好きなこと」を仕事にできれば理想的ですが、なかなかそうもいかないことが多いです。となると次に「長年やってきたこと、できること」が近道です。まだそれは「嫌いじゃないからこそ長年続けることができた」ともいえます。そして「やったことはなくても儲かりそうなネタを見つけ、時代の流れに乗って運を掴んで事業拡大」という道もあります。しかし、私はその道だけは違和感を感じてなりません。上手く、要領よく、賢く進むか否かは本人の能力次第なのですが、意地は養えれど必ずぶつかる困難に対峙するための胆力を備えることは難しい、備えることができても弱いと思うのです。

なので私は「やりたいことが大好きなことか、経験に基づくものかどうか」が非常に重要だと考えています。

やってしまってからその仕事に惚れ込むのも結果としては良いことです。しかし起業前にそうなるかどうかを知ることは不可能です。となるとこの場合、起業前では「興味があるから」「儲かりそうだから」で選択し、起業後にもし惚れ込めなかったらあとは「カネが原動力」「生活のために」「経営がおもしろい」で会社を動かすしかありません。

もちろん経営学的にはそんなことは否定され、理想論として片づけられるかもしれません。今の起業塾などでは「ネタ探しの嗅覚」「会社を大きくすることのコツ」を真っ先に教えてくれるそうです。大きな出資を狙い、キャピタルなどへのプレゼンテーションの仕方などの資本調達方法、M&A展開の方法、などテクニカルな部分です。これは株式公開、上場を念頭に「大金持ちになりたい」「有名になりたい」方には最適かもしれません。

しかし私は「起業」とはもっと足元に近いものであり、最終的な結果が「成功」であると考えています。いえ、最終的な結果など死ぬまで出ないかもしれません。小さなラーメン店でも単独で何十年も繁盛しているところはたくさんあります。私はこれが最も典型的な「成功」だと思うのです。逆に一時だけ爆発的に流行り、FC展開にまで手を付け、「最近味が落ちたなぁ」と評判のお店もありますよね。

要は「キラーコンテンツ(前例だと看板ラーメン)」は常にブラッシュアップ(支持される味の維持という意味もあります)しないとならないのです。

つまり小さな成功を永続させる努力、それを積み重ねてこそ大きな成功につながる、と私は考えます。

それは並大抵のことではありません。だからこそ「大好きなこと」じゃないと続かないと思うのです。起業家は野心家か弱者、このどちらかだと思います。私は後者です。前者は結果を急ぎます。すると人が集まります。その分チャンスをつかむ可能性も与えられるのかもしれません。しかし失敗すると嘘のように人が消えていきます。後者は結果を急ぎません。だから一発花火は上がりません。でも「生活できれば御の字だ」という消極的姿勢がときに自分を守ってくれることも多いのです。人は集まりにくいですがカネや流れで集まったのではなく「人」で集まった人なので多少失敗しても離れる人は少ないです。

<参考>私が見たある経営者

自動車流通界のある会社に敏腕経営者がいました。若くして成功し、着眼点も良く、あれよあれよと株式上場まで至ります。

しかしその方はコンサル系出身で、たまたま従業員として携わった自動車業界、拘りは感じませんでした。単に「ビジネスチャンス」を見出したのです。

その後世界経済の大変動でどの企業も苦しみます。その会社も例外ではありませんでした。するとその方はあっさりと持ち株すべてを売却、つまり会社を売ってしまったのです。経営からも完全に退きました。

内情がどうだったのかは私の知るところではありません。しかし私が真っ先に思ったのは、彼を信じてついてた面々、一緒に会社を大きくしてきた人たちはその行為を一体どう思っただろう、と。

利益とリスク対応の観点ではタイミングも良かったと思いますし、創業者ですからそれによって億単位の売却益を手にしたと思います。

今その会社は経営悪化によって上場も廃止になり、その後、親会社・スポンサーが転々とし、経営再建中みたいです。

これを起業、事業、そして創業者の「成功」と言えるかどうか。莫大な金を元手に今度は全く別の分野で起業した彼。波風激しい中小の自動車流通で上場までこぎつけたのですからテクニカルな面ではクレバーだったかもしれません。しかし周りには必ず「人」がいるのです。結果論ではありますが、個人的成功のために尽くしてくれた人たちを踏み台にしたのです。

いろいろな見方はあるでしょうが、私はそんな起業は性に合いません。

私が応援できること

起業、創業といっても「志」や目的によって様々な形態があります。残念ながら私は自身の経験や考えに基づかない野心的でテクニカルな起業のアドバイスはできません。自分が携わってきた分野で起業したい、もしくはこれまでとは畑違いであっても長年の夢だった分野でまずは小さく開業したい、という方の支援をいたします。

私自身、平成17年に創業した、一応「起業家」です。起業にまつわる一通りのことを経験しました。家族の反対もあり準備にも一苦労しました。良い時もありましたし悪い時もありました。

ただ、有難いことに今もこうして生活できています。できれば本当はもっと盛り上げたいのですが私は「地道」を選択しました。そして常に「会社のたたみ方」を意識しながらやってきました。周囲の人の有難さや冷酷さを身をもって知り、人を見る目と、取るべき距離感も知りました。

気軽に相談できる相手もいない、完全に一人で始めたので、振り返ると「上手くやればもっと楽だったかも」と思うことがたくさんあります。

同じ過程、同じ環境にある起業家の支えになる。事業計画、資金調達、助成金、起業家支援制度、許認可、個人事業主か法人か、事業開始の届出や法人設立の方法、スタートダッシュ・・・意外とやることはたくさんあります。そして経営者は孤独です。利害関係を持つ人は仲が良くても心まで許したり隙を見せることはできません。でも必ず心から信頼できる人も現れます。

一人で悩むと時には正確な経営判断の妨げになることがありますし、起業前ならネガティブ思考の悪循環に陥ってしまうこともあります。そんなあなたの背中を押してあげたい、ときには思いとどまらせてあげたい。私はあくまでも第三者、自分なりの道案内ができます。そして決断はあなた次第。

私が起業時に欲していた役割。それを私が引き受けます。あなたが巣立つまで、巣立った後でも良き相談相手になれれば本望です。

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