い・ろ・は・のまえがき

私たちは一般的に4つのタイヤがついていうものを「クルマ」と呼んでいますが、それには大きく白いナンバーと黄色いナンバーの2種類あることはほとんどの方が理解されていることと思います。

「軽自動車」と「普通の車」と言った方が分かりやすいかもしれませんが、私たちには同じ「クルマ」であってもこの2種類それぞれ沿革が違い、それによって手続きが違うということを覚えてください。

余談ではありますが、黒いナンバーは軽自動車の事業用であり、緑ナンバーは白ナンバーの事業用という意味です。ここではざっくりと「軽自動車(黄色ナンバー)」「普通車(白ナンバー)」と書きます。

クルマは管理されている

細かい法律論は無駄ですので詳しくは書きません。ただ、成り立ちとして普通車(白・緑ナンバー)は不動産登記制度に似た「登録制度」の下で管理されていますが、軽自動車にはそれがなく「登録制度に似た制度」で運用されています。

これは、軽自動車は元々は2輪から枝分かれし、軽3輪、そして軽4輪へ、という独自の歴史を辿ってきたところにあります。

普通車を管轄するのは国、つまり「国土交通省」でありそのイチ部局である「地方運輸局と神戸運輸監理部」で、具体的な検査や名義などに関する事務を担っているのは直系の下の組織である「各地の運輸支局と兵庫陸運部」と、さらにその下の「各地の自動車検査登録事務所」が分担しています。

軽自動車も法に基づいている規格ですから国土交通省が担っているものの、検査や事務は法で指定された「軽自動車検査協会」という(特別)民間法人(当初は運輸大臣認可法人)が全国に主管事務所と支所を置き担っています。

車検証?検査?登録?

全てのクルマ(一般的な「クルマ」)で共通するのは「検査」を受けて「自動車検査証」の発行を受ける、という点です。これは軽自動車も普通の車も同じです。登録が義務付けられているクルマはそこからさらに「登録」を経て、名義に関し安定性を確保するための手続きが行われます。

「自動車検査証」という本名から分かるとおり、車検証は「この情報に基づくクルマはきちんと検査を受けて保安基準に適合していますよ」ということを証する書類であり、名義云々よりもまずは「クルマ」そのものなのです。これはクルマが不動産よりも容易に社会や他人の生命財産に損害をもたらす可能性を持つものに対する法律の責任や決意の表れとも感じます。

普通車は「検査」と「名義関係を車検証に記入」し、それら情報を「登録」することが必須で、軽自動車は「検査」と「名義関係を車検証に記入」することまでが必須、それぞれ別モノでも車検証という名称や記載されている情報はほぼ一緒です。分かりやすく言うと「検査OKの証明、名義と車両情報をあわせて記載された車検証を作る」、軽自動車はそこまで、普通車はそこから同時に「登録」をする、なのです。

普通車の名義や住所の変更は「自動車検査証の記入(内容を変えてもらう)を申請し」同時に「以前に登録してある内容を新しい内容に変える登録を申請する」という2段階の手続きを経るのに対し、軽自動車は前者だけで完了です。

普通車と軽自動車、両方の車検証を見ることができる人は見比べてみてください。普通車の車検証には「登録番号又は車両番号」と記載されていますが、軽自動車は「車両番号」のみです。いわゆる年式の欄には普通車は「初度登録年月」、軽自動車は「初度検査年月」と記載されています。普通車の車検証が登録有り無し両方対応できるようになっているのは、登録を要しない車両(自動二輪など)も同じシステムで管理しているからです。

じゃあ登録制度の有無で何が違う?と問われると、「強さ、硬さ、安定性が違う」としか言いようがありません。財産としての意味合いが強い普通車は権利に絡むトラブルを防ぎ、かつ財産的運用ができるように「登録」が義務付けられているのです。

具体的には、軽自動車の所有権に係る手続きには実印の捺印や印鑑登録証明書の添付を必要としません。イコール認印でもOKですが、普通車は印鑑登録証明書と実印によって都度、明確な意思の確認が必須です。一般的ではありませんが「登録」されている車両は不動産のように抵当権の設定も可能です。

実務上で面倒なのはそれぞれ同じ目的の手続きで理屈が複雑なところです。

普通車では「新規検査をして新規登録」は、軽自動車は「新規検査」のみ、普通車で「自動車検査証記入と移転登録」や「自動車検査証記入と変更登録」という一般的な名義変更・住所変更は、軽自動車では内容問わず「自動車検査証記入」のみ、普通車での「抹消登録」は軽自動車では「自動車検査証返納届」となります。

自動車販売会社の方々や私たち専門家と呼ばれる者でも、会話上では軽自動車でも「登録番号」とか「移転」「抹消」、「車庫証明」(軽自動車の場合は「証明」ではなく「届出」となります)と呼んでいますので、一般の方がいちいち使い分けを覚える必要はまったくありません。お互いに話が通じればどんな言葉を使っても良いのです。

今でも旧来の手書き書式が使われている250ccのバイクを持っている人であれば、その車検証が「車検証」ではなく「届出済証」であることから考えやすいかもしれません。250cc以下(軽二輪)は軽自動車の一種ですが、車検がないのでそのような名前なのです。軽自動車は本来「届出済証」だけど途中から4輪は車検が義務化されたので「車検証」になった、というところでしょうか。現に私どもや保険会社など専門の業界では軽自動車を「検査対象」、250ccバイクを「(検査)対象外」と呼ぶ機会があります。

所有者と使用者

では、車検証の中身について書きます。

普通車でも軽自動車でも、記載されている内容はほぼ一緒です。

「所有者」とは、その車両の絶対的持主と考えてください。車の情報を変更したり、所有している権利を他人に譲るのは全て「所有者の意思」がないと行うことはできません。

「使用者」とは、実際にその車を使用し、管理する人のことです。

例えば、自動車ファイナンスを契約してクルマを購入すると、自分で買ったにもかかわらず、所有者が自動車ファイナンス会社や購入した自動車販売会社とされ、購入者は使用者として車検証に記載されることがほとんどです。これは、自動車ファイナンスの契約で借入れ分を全額支払い終わるまでそのクルマは担保的性質を持たせることを意味します。要は「借入れが残っている状態で勝手に転売させない」ために「所有権を留保」するわけです。

現金一括などで購入すると、所有権留保などされる筋合いはありませんから購入者が指定する所有者、使用者(ご本人なり、ご家族なり)とできます。この場合には、普通車では所有者欄に指定した人の氏名住所が記載され、使用者欄の住所氏名は「***」と記録されます。これは「所有者に同じ」という意味です。これを私たちの通称で「所使同一(しょしどういつ)」といいます。もちろん名義人となる方の同意があれば、所有者と使用者を別々にすることも可能です。

軽自動車の場合は注意が必要です。似たような書式の車検証ですが、軽自動車の車検証は所有者欄と使用者欄が上下逆になっています。これは軽自動車は何事も「使用者申請」が原則であることに由来します。ですので、軽自動車の場合の「所使同一」は上段の使用者欄に氏名と住所が記載され、下段の所有者欄側に「使用者に同じ」「使用者住所に同じ」と丁寧に記載されます。

使用の本拠

一番問い合わせが多いのがその下、「使用の本拠の位置」欄についてです。

使用の本拠とは、実際にそのクルマが「どこで」使われるかを記録します。個人であればほぼ99%は使用の本拠は住民票を置いている「ご自宅」となりますので、普通車の場合は「***」と記載され「使用者住所と同じ」という意味となります。軽自動車は「使用者住所に同じ」と記載されます。

使用者の住所と使用の本拠が一致しないケースで一番考えやすいのが「会社の営業所」です。

例えば、本社がA市にあり営業所がB村にある会社で、B村で使う営業車を購入する場合、本当は常時B村の営業所で使うにもかかわらず本社であるA市を本拠としてナンバーを取ると違法となってしまいます。とはいえ、営業所がクルマの所有者となるには会社の権限を大きく移譲した「支配人」を置き、その旨の登記をし、印鑑登録をしなければなりません。しかし車は会社財産となりますから所有者は本社であることが本来の正しい姿であるはずです。

その営業所が会社においてどのくらいの権限を持っているかで形態はいろいろあります。単なる連絡所的な営業所もありますし、営業所で独自の会計を行っていたり大きな契約行為を行っていたりなど、一般的な支社、支店、営業所という名称では判断しにくいのです。

このケースで適法な車検証を作成する方法は2通りあります。

所有者を本社とし「使用者を営業所」とする方法、もう一つは「使用の本拠を営業所の住所」とする方法です。

会社で購入するクルマの多くはリース契約が多いので、所有権を設定しやすい後者のパターンが一般的だといえます。所有者がリース会社、使用者が会社、使用の本拠が営業所、という感じです。

これは個人でもあり得ます。例えば、個人事業主が自宅と別の場所で何らかの事業を行っているケースです。自宅はA市だが、B村で個人商店を営んでいて、仕事で使う配達用のクルマをお店の住所とするケースなどがそれに当たります。

このケースでは所有者、使用者を個人名、自宅住所とし「使用の本拠を個人商店の住所」とすることが可能です。但し、車庫証明を申請する段階でそこで実際に事業を営んでいることを証明することが必要です。

「使用の本拠」欄はこのような使われ方をします。

委任状と申請依頼書

様々な手続きで欠かせない書類である「委任状」は、その手続きに関わる当事者から「手続を代わりに行う(代理する)」権限をもらうことを周りに知らせる書類です。

その権限を持たないと「本人の意思とは関係なく勝手に申請しようとしているかもしれない」という疑いを消せず、公的な申請や届出では受け付けてもらうことができません(「代行」や「使者」という単なる「お遣い」であれば申請の種類により受け付けてもらえるものもあります)。

ここでは実際に窓口に申請をしに行く人が誰なのか、という部分が重要になります。

例えば、Aさんからクルマを譲ってもらったBさんが、自分で名義変更に窓口に行くとすれば、AさんがBさんへ委任する委任状は絶対的に必要ですが、BさんがBさんに委任する委任状は要りません。自分が自分に委任する、というのは誰が考えてもおかしな話だからです。

しかし、AさんBさんが全くの第三者である行政書士に手続を頼むとすれば、AさんBさんともに行政書士に対して手続を任せる旨の委任状を必要とします。

普通車の場合、OCRシート(申請書)に直接実印を押せば委任状は要りません。これは登録内容が確定できるOCRシートに「申請代理人」の欄があり、それによって「誰が」「何の手続を」「誰に対して委任する」という委任状の効力も兼ねることができるからです。もちろん、譲渡に関しては別途「譲渡証明書」を要します。

では、軽自動車の場合はどうでしょう。

軽自動車では普通車登録用の汎用「委任状」書式は記述内容が異なる場合が多いため原則使えません。その代わりに委任の効力も含んだ軽自動車の手続き専用の「申請依頼書」という書式を使います。

まず、軽自動車のOCRシートの申請書には申請代理人欄がないのでそれだけをもって委任状を兼ねることはできません。ですので普通車のように「相手方からOCRシートに直接印鑑をもらってきた」としても別途「申請依頼書」を求められます(受理するケースもあるそうですが)。

本来は「委任状」としても良いのだと思いますが、軽自動車の手続きは普通車と違い行政庁にではなく名目上は民間団体に対し行います。高価なものを扱う以上それなりの拘束力を期待しつつ、使いようによっては重い法的効力も備えることができてしまう「委任」ではなく、敢えて扱いを軽くした「委託」、「申請依頼」という文言を使っているのかも知れません。

軽自動車でも「重量税還付を伴う解体」では専用の委任状、その効力を持つOCRシート(申請書)が用意されており、申請依頼書とあわせた提出が必要となります。

申請依頼書に関してはあちこちで確認をしているのですが未だ納得できる回答は得られないところです。今後も根拠は探りたいと思っています。

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